FOR SURVIVORサバイバーインタビュー

ハート

働くこと

私はフリーランスで料理の仕事をしている。メニュー開発、料理教室講師、食育授業、パーティーなどへの出張料理、イベント企画など。元々は会社員をしていてそこからの独立だった。石の上にも3年、まずはがんばってみようと私なりにコツコツと取り組み、3年目に差し掛かって仕事が軌道にのりはじめた矢先のがん宣告だった。

がん宣告をされて色々な思いがあったが、「せっかく仕事が軌道にのってきたのに、、、」というのも大きな思いの1つだった。本当に辛かった。なんで今?なんで私?と。

でも、すぐに復帰してこの軌道に乗り始めたチャンスを逃したくないと思い、子宮・卵巣を摘出してどれくらいで動けるようになるのか?ということを知りたくてたくさんのブログを読んだ。また、FACEBOOKを通じて仕事の発信をしていた私だったので、突然発信がなくなるのはきっと心配されてしまうと思い、FACEBOOKを通じてがんであることを告白した。がんであることを伝えたことで「健康管理も仕事の一つです」と非情にも断られた仕事もあった。

さらに辛かったのは手術が終わって、あとは元気になって復帰するだけと思っていた時に、摘出した腫瘍の悪性度が高く抗がん剤をしなくてはならないとわかった時、そしてその後の肺転移がわかった時だ。でも私は抗がん剤をしながらも仕事をした。それも色々な人の体験ブログを通じて、このタイミングならできるのではないか?と仮説をたて、そして周りの人に助けてもらいながら働いた。たくさんの人に助けてもらって感謝しても感謝しきれない。大きな声では言えないけれど、病院で外出許可をもらって仕事の打合せに行ったこともある。抗がん剤を投与した夜や翌日に仕事をしたこともある。誰にもすすめられることではないけれど、抗がん剤と仕事を両立することはできると思っている。

なぜそこまで働くのか?と聞かれたことがある。たしかに以前のように会社員だったらそこまでがんばらなかったかもしれない。有給を取れるだけ取ったかもしれない。休職をしたかもしれない。だけど、

今の私は仕事が生き甲斐なので。好きなことを仕事にしているから、仕事ができないというのは好きなことができないということでとても苦しいことなのだ。

会社員と違って有給もないし、急遽何かあっても代わってもらうことが難しい。でもフリーランスだから体調に合わせて仕事をコントロールできるというメリットもある。だけどやっぱり一回体調を理由で仕事に穴を開けたら次の仕事をもらうのが難しいというリスク、体調がずっと悪かったら収入がなくなってしまうという現実、そんなデメリットもある。

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まだ治療が継続している今も、どうやって仕事を続けていくか、これは常に考えている。でもやっぱり仕事で作ったご飯で、レシピで、記事で誰かがおいしい、知ってよかったと喜んでくれる瞬間が幸せだから、いつか動けなくなってどうしようもない状況になるまで、食の仕事に携わっていたいと思う。

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