FOR SURVIVORサバイバーインタビュー

ハート

子宮体がんを患ってのセカンドオピニオン

「セカンドオピニオンをするかしないか」病気を告知された時や、治療が進むとどうしようかと悩む人も多いのではないでしょうか。

セカンドオピニオンとは

患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、治療の進行状況、次の段階の治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。セカンドオピニオンは、担当医を替えたり、転院したり、治療を受けたりすることだと思っている方もいらっしゃいますが、そうではありません。まず、ほかの医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。

参照元:「国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス

 

私の場合、告知された時はセカンドオピニオンはしませんでした。

理由は4つあります。私の患っている子宮体がんというのは子宮の内膜、つまり赤ちゃんがいる所にできるがんなのですが、そこの内膜を全て掻き出してがん細胞の悪性度を見る検査をしました。この検査は、検査と言っても全身麻酔をします。女性ならわかりますが、ほんの少し検査するために組織を取るだけで痛いのに全部掻き出すとなると麻酔なしではできません。

なぜこの検査をしたかと言うと、悪性度があまり高くなければ子宮を残せたからです。子どもが欲しかったのでいきなり手術をせずにこの子宮内膜掻爬術というものを行ないました。その結果、悪性度が高くて子宮は残せませんでした。

セカンドオピニオンをしなかった1つめの理由は、このように全身麻酔をして子宮内膜を全て掻がすということまでして出て来た結果は他の病院でも変わらないだろうと考えたからです。

2つめは有名な大学病院だったからです。他に聞いてもそう結果は変わらないだろうと。

3つめはセカンドオピニオンの料金の高さです。30分話を聞いて数万円かかっても結局同じ見解だったら嫌だなぁと。

そして最後の4つめ。もう度重なる通院に疲れてしまっていたのです。

がんかもしれない、もうそれだけで充分辛いのに、時間もお金も取られてさらには度重なる検査。子宮内膜掻爬術のために、手術室に入ったり全身麻酔をするための検査もしたから余計にですね。長い長い待ち時間や通院に時間が取られて他のことができないこともストレスでした。

なので、セカンドオピニオンをすることでさらに病院にかかる時間が増えるのが嫌だったのです。仮に他の見解が出て病院に移るとなったらさらにまた検査が増えたりするのではないか?そんな思いでした。

あの時受けていれば、という後悔はありません。選択をしたのは自分ですし、開腹してみたら悪性度が子宮内膜掻爬術の時より高い結果が出てきたため、セカンドオピニオンに回ったりして時間を後ろ倒しにしたほうが怖い結果になっていたかもしれないと思うからです。

しかしその後、現在に至るまで2回のセカンドオピニオンを受けました。

1回目は罹患して2年目。肺に多発性の転移をしている私ですが、その肺の病巣が大きくなったため、また抗がん剤をするという話があがった時にです。

せっかく髪が伸びてきたし、私はTC療法をするとのたうちまわるほどの手足の痛みが出るのでそれをまたやるのは耐えられないと思ったこと、他の薬は味覚障害が出るかもしれないと言われて、料理の仕事をしている以上それだけは受け入れられなかったからです。

その結果、セカンドオピニオン先の先生から単剤の抗がん剤の投与を進められました。本当はその病院に転院したかったのですが諸事情でできず、元の大学病院に戻りましたが、セカンドオピニオン先で聞いてきた意見を大学病院の主治医の先生が受け入れてくれました。また、セカンドオピニオンに行ったことで、主治医の先生としっかりと話し合いができるようになったような気がします。

そして2回目はつい最近です。肺に転移した病巣はなくなるどころか大きくなってきています。

次に行なう抗がん剤は私のかかっている大学病院では入院治療が必須です。でも私は今、大学に通っているのでそれはできません。色々調べていたら、ある病院では日帰りで同じ治療が受けられることがわかりました。そのため、再度セカンドオピニオンを受けることにしました。その病院に移るつもりだったので、最初から初診の紹介状を主治医の先生にお願いすることもできたと思いますが、それってなかなか言い出せませんし、治療難民になってしまっても困ります。

最初から初診だったら、セカンドオピニオンのお金もかからないのに、という思いはありましたが必要経費だと思って受けました。そしたら抗がん剤を日帰りでやってもらえるどころか、私が今やるべきなのは抗がん剤ではないと言っていただきました。これまでTC療法6クール、カルボプラチン単剤3クール、ドセタキセル単剤4クールという抗がん剤をやってきました。これだけやって効かないということは私は抗がん剤が効きづらいそうです。

さらには私のがんの進行はゆっくりだからそんなに焦ることはないと言っていただきました。主治医の先生は入院は嫌と言っているのに入院して抗がん剤をしなければならない、放っておいたら大変なことになる、と急かすように入院の予約を入れられてしまいました。それが、違う先生の見解だと抗がん剤は効かないからホルモン療法をもうちょっと時間をかけてやっていきましょうと。

このあまりにも違う見解に衝撃です。抗がん剤は体力も時間も気力もお金も奪います。意味のない抗がん剤をさらに打たれる所だったのかと。

主治医の先生のことを完全に否定はしません。今まで色々やったから私には効かないと判断が下せたのかなとは思いますから。でも仮にもっと早くセカンドオピニオンに来ていれば20万円くらいお金を節約できたかもしれないと思うと切なくなってしまいました。

ということで新たな病院でこれからは治療をはじめます。今までもだいぶ前向きに治療をしてきましたが、さらに前向きにがんばれそうな気がします。

他の病院の先生と悪化したり、なかなか抗がん剤の効果が出ない時にです。
 

>>子宮体がんになって今だから思うこと [松永 直]

>>子宮体がんになって今だから思うこと ② [松永 直]

 

Copyright2016 © NPO法人C-ribbons(シーリボンズ) All rights reserved.