KAE’S ROOM藤森香衣がお答えします

ハート
「『自分の経験を活かして何かしたい』と思うようになってきました」術後2年になる、40代女性です。2年間はあっという間でしたが、だんだん周りが見渡せるようになり、「自分の経験を活かして何かしたい」と思うようになってきました。 藤森さんは術後5年経ったそうですが、1年ごとに心境の変化などはありましたか。 また5年経って、これから思う事はありますか?

  「活動は病気だけでなく、色々な方の人生も知ることができる」

手術をしてから本当に、「当たり前って、当たり前ではないんだ!」と思いますよね。
1年1年が大切だと変化したお気持ち、とても分かります。

私の場合は、術前から「手術したら、こうしよう」と決めて活動したので、
1年単位と言うよりも、数年間があっという間でした。
周りの方から「5年ですね」と言われて、「ああ、そうか」と、やっと考えた感じです。

ただ、未だに毎年の検診は怖いですし、今年、主治医から「問題ないですね」と言って頂いた時は、涙が出たので、
心の底では私も、不安と隣り合わせで過ごしているんだと思います。

「自分の経験を活かして何かしたい」というお気持ちも、とても分かります。
サバイバーの方は皆さん、体も心もそれぞれ大変な思いをされてきたため、誰かの役に立ちたいと考える方は多く、
そうしたご相談を受けることもありますが、私が皆さんにお伝えするのは
「いきなり何か始めるのではなく、客観視できる心の状態をつくって下さい」ということです。

あなたの経験を新たな患者さん(サバイバー)と分かち合う事は、お互いの心の癒しにはなりますが、その反面、
病気だった時の“辛い気持ち”をあなたは何度も何度も思い出さなくてはなりません。

目の前のサバイバーの方と病気について話し、闘病を追体験する場合、まだ心が準備できていないと、
あなたも辛い状態になってしまいます。
活動に参加する前に、まずは、色んなイベントや、団体の活動に参加し、見ていく内に、
病気だけでなく、色々な方の人生も知ることができると思います。

そうした中で、「これだったら、私にもできそう」と思えるものが出てきたら、
それは“やりがい”に繋がり、心の活力にもなる。

もし、色々なものを見て「やっぱり、私には無理そう…」と思っても、それはそれで良いんです。
誰かの役に立ちたいと思う気持ちが、社会には必要ですし、何より、
あなたは、あなたご自身を幸せにするために、生きているのですから。

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